●ヤモリ班の取り組み
ヤモリの手のひらにはsetaと呼ばれる長さ100[μm]程度の毛のような構造があり,setaの先端部はspatulaeと呼ばれる長さ1[μm]程度のへら状がある。これらが接触面にマクロ単位で存在する凹凸に入り込み,真実接触面積が増加することでファンデルワールス力の発生を促しており、この力による吸着特性により体重を支えています。また、setaは吸着特性に加え、優れた剥離特性を有しています。本研究班では、この構造に着目し、小型機械における新たな伝達機構の開発を目指しています。それに向けて、setaを模擬した突起シートを作製し、摩擦試験を行っています。


●突起シートの製作
3Dプリンタにより造形した突起シートの原型を容器の底に接着し、容器にシリコンを流し込み24時間硬化させることで鋳型を製作する。その後、製作した鋳型にウレタンを流し込み24時間硬化させた後、ウレタンを取り外すことで突起シートを製作します。配列を変更した複数の種類の突起シートで摩擦試験を行うことで、突起の性能評価を行っています。


●摩擦測定装置
実験装置では突起シートの材質であるウレタンと電気的相性に優れるアクリル円板を用いて、各突起シートの静摩擦力を測定し、その値を用いて静止摩擦係数を算出します。実験方法は、突起シートと半円アクリル板の曲面を接触させ,銅板を用いて突起シートに垂直荷重を加えます。実験時は容器を空にした状態から、容器に水を加えることで荷重を徐々に変化させ、突起シートが滑り出す直前の容器内の水と容器の重さを計測し、得られた重さと銅板の重さから静止摩擦係数を算出します。
